日本の教科書として、小学校の3、4年生用「ほけん」と5、6年生用「保健」にも非科学的かつ不適切 な内容が散見されます。
2000年,2006年に口腔衛生学会雑誌
56(3), 302-308, 2006-07-30に報告したところです(2006年分下記)。
日本の小学校における保健学習用の口腔関連記述に関する検討
抄録:
平成16年に検定済の保健学習用教科書について,「むし歯」と「歯周病」とそれらの予防方法をはじめとした 記述内容について検討したところ,20世紀の歯科研究の成果を反映している内容とは考えられなかった.そこで ,小学校の保健学習用教科書の歯科関連の記述に,以下の3点を盛り込む必要がある.「むし歯」とその効果的な 予防方策として,う蝕の成り立ちと修復(再石灰化)の過程を正しく記述する.
また,歯磨きでう蝕が防げると強調しすぎる記載を是正する.さらに,再石灰化を促すフッ化物と,唾液のはたらきに ついて適正に説明する.一方,「歯周病」の予防については,適切な歯磨きの重要性を強調し,さらに歯周の健康に たばこなどの危険因子が影響することを記述する.わが国においては,21世紀における国民健康づくり運動 (「健康日本21」)が進行中である.その礎はヘルスプロモーションの考え方であり,Evidence-based
Dentistryを 反映した教科書へと改善するように提言する.とりわけ,日本口腔衛生学会は国民の口腔の健康を守る立場から ,教科書問題に関する検討会を立ち上げ,早急に世界の標準的な内容を,児童はじめ学校関係に提示するように 努力するべきである.
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004815019
口腔衛生学会雑誌 [巻号一覧] 口腔衛生学会雑誌 56(3), 302-308, 2006-07-30
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