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からだと心相談室:「加齢黄斑変性」どんな病気?

 最近、障子のさんがゆがんで見えます。眼科では「加齢黄斑(おうはん)変性」の疑いと診断されました。これはどういう病気ですか?(60代・男性)

 ◇中高年に最近多く、たばこが危険因子に

 加齢黄斑変性は、中高年に多く、網膜の中心の黄斑に異常が起こる病気で、最近増加しています。米国では65歳以上の中途失明原因のトップで、わが国でも増えてきました。症状は、「視力低下」「中央がぼやける」「ゆがむ」などです。ゆがむ症状は、グラフ用紙や碁盤でも確認できます。片目で見て、升目のゆがみがないか、中心が欠けたりぼやけていないかを確認します。症状があれば、すぐに眼科を受診して下さい。

 網膜の中心の一番大事な部分を黄斑と呼び、加齢黄斑変性はその黄斑が変性する病気です。黄斑が萎縮(いしゅく)する萎縮型と、網膜の下に新生血管が生えて腫れや出血を起こす滲出(しんしゅつ)型の2型があり、日本人には後者が多いです。

 診断には、通常の眼底検査以外にも、蛍光色素を注射して眼底の異常を見る蛍光眼底検査が必要で、網膜下の新生血管の有無やその広がりなど有用な情報が得られ、結果により治療法が選択されます。網膜の断面図が得られる光干渉断層計(OCT)も有用です。

 治療には、レーザー光凝固術、光線力学療法(PDT)、抗血管内皮増殖因子(VEGF)の硝子体(しょうしたい)内注入、硝子体手術などがあります。この中でも光線力学的療法は、04年5月に認可された新しい治療法で、光感受性のある色素を静注し一定の波長のレーザー光線を当て、正常な組織を傷つけずに異常な新生血管だけを破壊する療法です。治療対象になるか否かは新生血管の位置と範囲によります。抗血管内皮増殖因子はまだ治験段階です。いずれにしても早期発見、早期治療が有効です。

 加齢黄斑変性の予防は、たばこが危険因子の代表なので喫煙している方はすぐにでも禁煙すべきです。米国で行われた大規模臨床研究では、亜鉛と抗酸化ビタミン、ルテイン(緑黄色野菜に多い)が予防に良いという結果でした。現在、魚油に含まれている不飽和脂肪酸の効果も含めて2回目の大規模研究がなされているところです。強い光もよくないのでサングラスや帽子で眼を守るといいでしょう。<市立豊中病院眼科部長・細谷比左志先生(眼科)>

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毎日新聞 2007年10月13日 大阪夕刊