島津製作所(京都市)が製造した医療用エックス線装置を巡り、保守と販売を担う子会社の島津メディカルシステムズ(大阪市)熊本営業所の幹部社員が、熊本県内の公立病院に納入した装置に回路を遮断するタイマーを仕掛け、故障を装って部品を交換していたことが本紙の取材で分かった。病院は交換修理費として200万円超を支払った。島津製作所は社内調査していることを認め、自社のホームページに「事実関係が明らかになり次第、しかるべき対応を行う」とのコメントを出した。
両社の関係者は2022年08月25日、この病院を訪れて謝罪し、概要を説明した。営業所を所管する熊本県は、メディカル社などから聞き取りをする考えを示した。病院を運営する自治体は、代金の返還を求めることも視野に検討するとした。
部品を交換していた装置は、エックス線で体内を撮影しながら映像を見られる「エックス線テレビシステム」で、この病院には2009年に設置された。関係者によると、幹部社員は17年9月、装置の点検時にタイマーを仕掛けたとみられる。後日、病院からエックス線が出なくなったと連絡があり、「エックス線管球」と呼ばれる主要部品を交換。病院は、税金や患者が支払った医療費が原資となる自治体の病院事業会計の維持修繕費842万円から約228万円を支払ったが、実際は故障していなかったとみられる。
タイマーは、病院から故障連絡を受け、再び訪問した時に回収した疑いがある。島津製作所とメディカル社は今春以降、不正の疑いがあるとの情報を得て、複数人から事情を聴いている。病院は取材に「何が起きたのか明らかにして、再発防止に努めてもらいたい」と述べた。
メディカル社は取材に「この件は島津製作所で対応する」と説明。島津製作所は「外部専門家も含めて客観的に調査を進めている。不適切な行為の疑義は一部地域に限定されている」としている。
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