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フッ化物洗口が法的に整備され、学校保健に位置づけられた 1984(昭和59)年12月に、新潟県選出の松沢俊昭衆議院議員から「フッ素の安全性に関する質問主意書」1)が国会に提出された。これに対し1985(昭和60)年3月中曽根康弘総理大臣名で「フッ素の安全性に関する質問に対する答弁書」2)が出され、 “学校におけるフッ化物水溶液における洗口は、学校保健法(現学校保健安全法)第二条に規定する学校保健安全計画に位置づけられ、学校における保健管理の一環として実施されているものである”と明記された。フッ化物洗口が法的に位置づけられたのである。 また、2011(平成23)年に日本弁護士連合会から「集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書」3)が出された折には、文部科学大臣が呼応して、学校歯科保健参考資料「『生きる力』をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」を挙げ、フッ化物洗口は「生きる力」をはぐくむ教育の一環であると位置づけている4) 参考文献 1) 松沢俊昭: フッ素の安全性に関する質問主意書. 官報 号外: 3/8,399-415, 1985. 2) 中曽根康弘: 衆議院議員松沢俊昭君提出フッ素の安全性に関する質問に対する答弁書. 官報 号外: 3/8,416-420, 1985. 3) 日本弁護士連合会: 集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書. https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2011/110121.html(2021年1月14日アクセス) 4) 文部科学省: 「生きる力」を育む学校での歯・口の健康づくり 第2章 歯・口の健康づくりの理論と基礎知識, 2011.116頁. https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/23/1306939_06.pdf(2021年1月14日アクセス) 学校におけるフッ化物洗口は、学校保健法第二条に規定する学校保健安全計画に位置づけられ、学校における保健管理の一環として実施 - 学校におけるフッ化物洗口の法的位置づけに関する松沢議員質問1)と中曽根首相答弁2)をもとに - 松沢俊昭 質問 七 フッ化物による洗口及び新潟県における実施について 1 新潟県教育委員会は、市町村教育委員会教育長にあてた「通知」において「フッ素洗口法は、・・・副作用等の安全性にも問題はない・・・」と、小学校、保育所等に周知、助成措置を受けられるよう指導を指示している。政府の「フッ素洗口」に対する見解並びに、新潟県教育委員会の「副作用等の安全性にも問題はない」とする判断に対する見解を示されたい。 2 新潟県教育委員会教育長は、フッ素洗口に伴い作成する「歯の検査(管理)票」を、学校保健法施行規則第六条で定める「歯の検査票」として取り扱うことを通知している。 ① 政府は、学校保健法施行規則第六条で定める「歯の検査票」以外の文書を、「歯の検査票」と同等に取り扱うことができるかどうか、政府の見解を示されたい。また、取り扱うことができるとするなら、その法的根拠を示されたい。 ② 学校保健法施行規則第六条で定める「歯の検査票」と同等に価値ある諸票として取り扱う場合(例えば、「歯の検査(管理)票」)の基準は何かを示されたい。 3 新潟県教育委員会教育長は、「この事業(フッ素洗口事業)を実施する場合、学校においては保健管理の一環として位置づけ、学校長、学校歯科医、学校薬剤師、保護者等と十分協議連絡し理解を得た上で実施すること。」と、市町村教育委員会教育長あて通知の中で述べている。 ① フッ素洗口が各学校において実施されるとき、「保健管理の一環として位置づける」ことのできる法律的根拠を、政府の見解に基づき示されたい。 ② 新潟県教育委員会教育長がフッ素洗口が「学校においては保健管理の一環」であるとするなら、ことさら保護者との十分な協議、連絡、理解を求めなければ実施することができないのか、政府の判断と見解を示されたい。 ③ 新潟県教育委員会教育長が、フッ素洗口が「学校保健管理の一環」とするなら、フッ化物洗口を拒否する児童・生徒保護者は、学校保健管理上の義務違反となり、何らかの法的制裁を免れないものと思われる。その時の法的根拠と制裁内容について政府の見解を示されたい。 中曽根康弘 答弁 七の1について フッ化物水溶液による洗口の有効性、安全性については、内外の専門機関が一致して認め、WHOでも広く推奨しており、新潟県の見解につても問題はないと考える。 七の2について 新潟県教育委員会作成の「歯の検査(管理)票」は、学校保健施行規則第三号様式と同内容であり、問題はないと考える。 七の3の①について 学校におけるフッ化物水溶液による洗口は、学校保健法第二条に規定する学校保健安全計画に位置づけられ、学校における保健管理の一環として実施されているものである。 七の3 の②について フッ化物水溶液による洗口の実施に当たっては、フッ素の身体に及ぼす影響について不安を持つ保護者もあるので、事前に保護者に対しその趣旨の説明を行い、その理解と協力を求めたものと聞いている。 七の3 の③について フッ化物水溶液による洗口は、任意に行われるものであるので、それを拒否した場合、学校における保健管理上の義務違反にはならないと考える。 1) 松沢俊昭: フッ素の安全性に関する質問主意書. 官報 号外: 3/8,399-415, 1985. 2) 中曽根康弘: 衆議院議員松沢俊昭君提出フッ素の安全性に関する質問に対する答弁書. 官報 号外: 3/8,416-420, 1985. |