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米モンタナ州西部を管轄するカトリック教会のヘレナ教区が先月31日に破産申請を行いました。停滞する経済を象徴するかのように、有名企業の破産申請が珍しい話ではなくなったアメリカですが、カトリック教会の教区による破産申請もすでに10件以上報告されています。この背景には聖職者による未成年への性的虐待が存在するようです。 ヘレナ教区で数十年間にわたって隠蔽されてきた性的虐待の事実
先月末に破産申請を行ったヘレナ教区はモンタナ州西部に57の小教区を持ち、約4万5000人のカトリック教徒が地元の教会に通っています。ヘレナ教区の歴史は古く、モンタナ州が誕生する5年前の1884年に創立されています。子供達に対する性的虐待がいつ頃から始まったのかは不明ですが、ヘレナ教区に対して起こされた集団訴訟では、1940年代から約30年続いたとされています。当時まだ幼い子供だった原告は、教会の中や学校、キャンプ場といった場所で性的行為を強要されていました。 米全土で30億ドルの賠償金が支払われてきた性的虐待問題
カトリック教会の関係者らによる児童への性的虐待は1990年代頃から少しずつ米メディアも取り上げるようになりましたが、ターニングポイントとなったのは2002年にボストン・グローブ紙が発表した調査報道記事でした。カトリック教会の影響力が強いボストンで、地元新聞社が性的虐待に関与した5人の神父を実名で報道。性的虐待の実態やそれらを隠ぺいしてきた教区の姿勢を厳しく追及し、同紙は翌年にピューリッツア賞を受賞しています。5人の神父にはやがて実刑判決が下され、2003年9月にはボストン大司教区が8500万ドルの賠償金を支払っています。この報道を機に、全米各地で過去にカトリック教会の聖職者らから受けた性的虐待に対して集団訴訟が相次いで起こされるようになったのです。 |