子供の頃から「減塩」の食事に慣れ、将来の生活習慣病予防に結びつけてもらおうと、滋賀県草津市は今年度、全市立小学校で塩分を控えめにした給食の提供に取り組んでいる。国が定めた学校給食の塩分摂取量を下回る基準を独自に設定。塩の代わりに、だしや香味野菜などを効果的に使う工夫も凝らしている。減塩給食の提供は、県内の自治体で初めての試み。
厚生労働省は昨年度、摂取すべき栄養素の指標として公表している「日本人の食事摂取基準」を改訂した際、塩分摂取量について数値を引き下げた。減塩の意識は高まっているものの世界的にみて日本人の摂取量が依然多く、生活習慣病の発症につながっているなどの理由で、18歳以上の男性の場合、1日当たり9・0グラムから8・0グラムとした。
これを受けて草津市は、子供の頃から減塩を意識することで、将来生活習慣病にかかるのを防ぐねらいで、塩分控えめの給食提供に取り組むことにした。
これまで同市では、文部科学省が年齢ごとに定めている学校給食の塩分摂取量基準に従い、3、4年生の場合は1食当たり2・5グラムを目安に献立を作成していた。しかし、今年度は2・2〜2・4グラムと、文科省基準よりも厳しい数値を定め、献立を作っている。
市学校給食センターによると、「新しい基準を1カ月間続けると、みそ汁1杯分の減塩になる」と推計している。
この目標のため、同センターでは、野菜などの食材を下ゆでする際に塩を使うのをやめた。また、塩分を減らして薄味になる分、だし汁を使ったり、ニンニクやショウガなどの香味野菜、カレー粉や豆板醤(とうばんじゃん)などの香辛料を活用したりしている。こうした工夫で4月のスタート以降、食べ残し量などに変化はない。
同センターは「給食以外に家庭などでも減塩を実践してもらえるよう、保護者にも呼びかけていきたい」と話している。