キリンの長い首は、高い所にある木の葉を食べるのに適しています。大昔のキリンは、現在のキリンより首が短かった事が化石よりわかっています。しかし、首の長さが中間のキリンの化石が見つかっていないので、キリンは高い所にある木の葉を食べているうちに、首が少しずつ長くなったと考えるのはなく、突然変異で首が長い遺伝子情報を持つキリンが誕生し、そのキリンが、生きていく上で有利だったので、生存競争に生き残れたと考える方が説明がうまくつきます。
しかし、ただ首が長いだけでは、全体のバランスが悪くなるので、足の長さや、体型までも同時に変化していないといけません。それらのすべてがうまく組み合わさっていないと、逃げ足が遅くなるので、成獣になる前に補食されてしまうからです。今のキリンが誕生するまでには、色が白いものや足がもっと長いものなども突然変異で誕生したかもしれません。しかし、それらが現存していないのは、環境に適しなかった突然変異だったのでしょう。まさに今いるキリンは天文学的回数の中で起こった奇跡とも言えるごくわずかな成功例の突然変異で進化した生物と言えるでしょう。
キリンのみならず、現在、地球上にいる生物は最初の生物が誕生して約37億年前という歳月をかけて、生物の設計図である遺伝子を進化させてきました。もし、遺伝子を変異させる放射能や紫外線、発がん物質等がなかったら、生物はこれ程、進化しなかったかもしれません。こう考えると、変異を引き起こす物質も必要かもしれませんが、変異のほとんどは悲劇を生みます。例えば、人間の場合、けがをして傷口がなおる時、周囲の細胞が増殖します。そして傷口がなおった時点で細胞増殖が止まります。これは細胞が無限に増殖しないように、p53という遺伝子がある為だと言われています。しかし、このp53の遺伝子が変異すると、無限に細胞増殖するいわゆる「がん細胞」へと変化してきます。また、MSX1という遺伝子に変異がある場合には、手足が生まれつきない四肢欠損の子供が多く生まれてきます。
現在、DNA鑑定等の技術を応用して、遺伝子を傷つけている物質の種類まで調べる事が出来るようになりました。がんの原因の1/3はタバコ煙に含まれる発がん物質によって引き起こされる遺伝子の変異です。このような変異を引き起こすタバコ煙を、次世代の子孫を残す子供や妊婦に吸わせてはなりません。
タバコはやめましょう。
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