三重県は9日、県が2009年度に発注した鳥羽港(鳥羽市)の防波堤工事を巡り、当時の県港湾・海岸室の室長ら4人が情報公開請求の対象となった文書12件を改ざんした上で公開していたと発表した。
県は「県行政への信頼を根幹から揺るがす行為」として外部有識者を含めた調査チームを設置し、8月末までに詳しい経緯を含めた全容を明らかにするとしている。
発表によると、防波堤工事は当初、10年3月末までの工期で発注。しかし、同年2月末に発生したチリ地震に伴う津波で地盤の補修が必要になったとして、県は国に翌年度への繰り越しを申請し、認められた。これにより、国の補助金のうち、未執行分の約5200万円の返還を免れた。
改ざんされたのは、中部地方整備局との打ち合わせ文書など。今年1月、情報公開請求を受けた際、チリ地震が発生する前の10年2月12日付の対象文書に「当初から繰り越しを想定していたかのような誤解を与える部分がある」などとして、職員が室長に改ざんを提案、該当部分を削除して公開したという。
県は調査の結果を待って、4人に対する処分を決める。鈴木英敬知事は「県民に深くおわびする。公文書の開示に加え、工事の内容についても詳しく調査し、信頼回復に取り組みたい」とのコメントを発表した。