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自分の身体についている常在菌を大切に 人間の皮膚や腸には、1,000種類以上の細菌が生着し、食べ物の消化や吸収、免疫反応などの機能をサポートしてくれています。これらの細菌は、赤ちゃんが産道を通った時に母親から受け継がれます。母親からもらった腸内細菌が殺菌作用のある酢酸を産生し、腸内で炎症を起こす原因となる悪玉菌を駆逐し、腸の細胞を健康に保ってくれます。皮膚も常在菌が病原体の繁殖やアレルギーを防いでくれます。 抗生物質を頻繁に服用すると、腸内の常在菌が減り、抗生物質耐性菌が増え健康を害してきます。これを完治させる薬はないのですが、健全な腸内細菌を持っている人の糞を服用させると、その細菌が抗生物質耐性菌を駆逐させて健康を回復するという方法があります。 皮膚も、アルコールなどの薬剤で手指を頻繁に消毒すると、常在菌が減少して、薬剤耐性菌が出現して、皮膚が荒れ、かえって感染しやすくなったり、アレルギーが生じやすくなります。 帝王切開で生まれた子供は、母親の膣周囲の有益な細菌がもらえないので、自然分娩の子に比べて病気になりやすいのはこのためだと言われています。帝王切開で生まれた子供は生まれた時に膣の分泌液を塗ってあげるといいと思います。 手指についた細菌を落とす最良の方法は水道の流水で洗い流す事です。皮膚の表面には皮膚を保護する油があるので細菌は落ちやすくなっていますが、石鹸などを頻繁に使って油まで落とすと、今後は、直接皮膚に細菌が付着するので、落とすのが困難になります。石鹸やお湯を使って手指を洗うと手が荒れるのはこのためです。 人類が進化の過程で得てきた先祖代々の常在菌を大切にしましょう。 |