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フロリデーション水の摂取とダウン症との間の関連性を示す科学的見解はありません。 この問題は、もともと精神科医により1956年と1963年に発表された2つの研究によってもたらされたものです。1956年に中西部の数州から収集されたデータがフランスの雑誌に2つの論文として発表され,その中で飲料水中のフッ化物とダウン症との関係があるかのように見せかける論文でした。 米国歯学研究所(NIDR)の経験豊かな疫学研究者、歯学研究者、国立精神衛生研究所の研究員たちは、これら2つの研究の統計処理と研究計画に重大な欠陥を発見しました。 なかでも重大な誤りは、多くの母親が妊娠中に生活していた地区はフッ化物濃度の低い農村地帯であり、出産した地域がフロリデーション地域だったということに基づいて間違った結論を導いたのです。さらに、フロリデーション地域とフッ化物濃度の低い地域のダウン症の症例数が、米国や世界の多くの地域でみられる割合よりもはるかに少なかったことから、その所見の正当性に疑いの目が向けられました。 次に、1956年の研究結果の誤りを明らかにする多くの研究の要約を以下に紹介します。 イギリスのある内科医が公共施設や学校保健職員による記録から人口動態統計を再調査し、保健婦やダウン症児たちの介護担当者たちの話を聞きました。その結果、ダウン症候群と母親が摂取した水のフッ化物濃度との間にはなんら関連がないことが示されました。 これらの知見は、マサチューセッツで出生した約2,500例のダウン症児についての詳細な研究によって確証されました。1,000の出生につき1.5の疾患の発生率は、フロリデーション地域とフッ化物濃度の低い地域のいずれにもみられ、フロリデーションがダウン症候群のリスクを増加させないという強力な証拠となりました。 別の約140万人の出生を扱った大規模な人口統計研究では、フロリデーションとダウン症を含む先天的な奇形との関連性はみられませんでした。 1980年にイギリスのバーミンガムでの25年間の先天奇形の発症率についての再調査が行われました。バーミンガムでは1964年にフロリデーションが始まりましたが、ダウン症の発症率にはその後も変化がみられません。 ダウン症の出生に関する包括的研究が、米国の44の都市で2年間行われました。ダウン症児の発症率はフロリデーション地域とフッ化物濃度の低い地域の両方で同じ結果でした。 |
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